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オンミナデー メディア

倉庫改修に学生アイデア 氷見

富山新聞 2020年11月30日

2020年11月29日のオンミナデーで富山大学生が行った発表が、11月30日に記事になりました!

記事のURL https://toyama.hokkoku.co.jp/subpage/T20201130203.htm?fbclid=IwAR2mj-YQqNUPceyVYHgWvdmaNQBTBiUprO9l2pagVgNZu1Ne0_4aPL8sgIc

以下、記事を引用

氷見市中心部を流れる湊川沿いにある古い木造倉庫を題材に富大生が建物再生の実習に取り組み、29日、改修アイデアを市民らに発表した。

 

 倉庫は朝日本町にあり、大正期ごろの建築とみられる。市民ら有志で設立した一般社団法人「on the Minatogawa(オンザミナトガワ)」が、カフェや事務所、学生の自習などに使えるスペースに改修する計画を進めている。

 

 学生は芸術文化学部の3年生7人。指導する荻野紀一郎准教授が倉庫の改修に関わる縁で課題研究に活用することになった。

 

 学生は倉庫をシェアハウスにすると仮定して改修アイデアを考えた。図面やパース、50分の1模型を使って特徴や狙いを説明した。ギャラリーやアトリエの設置、外の光を取り入れるだけでなく外に光を出す工夫を凝らした構造などが関心を集めた。

考察

藺製品倉庫の「蔵人」考

くろうど・くらうど・くらびと

 on the Minatogawa一般社団法人のメンバーの呼称は「社員」である。しかし、一般に「社員」という言葉で想起されるものと実態は異なることから、代わりとなる呼称のアイデアを求められた。
こういったときのネーミングは非常に重要だ。九州にある中世の景観を残す水田のオーナーを、単に「水田オーナー」募集とはせず「荘園領主」募集としている例を聞いたことがある。予想するに、日本史好きはその響きに惚れ「荘園領主になりたい」と殺到したのではないか。実際に、すぐにオーナーが集まったようだ。
 そこで、藺製品倉庫に集う人のネーミングは何が良いだろうか、と考えた。ふと思い浮かんだのが、平安時代の「蔵人(くろうど)」だった。天皇の側近、秘書的役割を担い「男房」(女房の男バージョン)とも言われた。蔵人のリーダーは「蔵人頭(くろうどのとう)」と呼ばれ、今でいうところの官房長官である。首相と並び、テレビ等での出演機会も多いし、首相の女房役なんて言われたりもする。こういった歴史的意味からは少しずれるかもしれないが、「くら」に集う人としてピッタリに思えた。
じつは同時並行で、クラウドファンディングのことも話題となっていた。混同している人もいるかもしれないが、クラウドファンディングの「クラウド」はネットやデータ蓄積などの文脈で使われる「雲=cloud」ではなく、「群衆=crowd」のことを指す。不特定多数の人と仕事の受注・発注を行う「クラウドソーシング」なども後者の方である。「蔵人」は「くろうど」だけでなく「くらうど」とも読めるので「蔵人ファンディング」と洒落みたいな表現にしたり、支援者を「くらうど」と呼んだりししても面白い。

 

 しかし一方で、オンミナの理念から群衆という没個性な「くらうど」はどうかな、と思いあぐねていた。そこで、代表の林さんからの「くらびと」はどう?という提案は、ピタリと来るものであった。どうしても組織の中の個人というのは、個性を尊重してもらえないことが多いと感じる。これは特に、都市部よりも地方の方が顕著かもしれない。不特定多数の個人ではなく、顔が見える個性豊かな一人の「ひと」を表現する「くらびと」はしっくりくる。
ただ、「くらびと」という呼称が定着するかは、メンバー次第である。つい「社員」と呼んでしまいそうだが、そうなると元どおりになってしまう。「社員、いや、クラビト」とたどたどしく始めながら、定着してくれたら嬉しいな、と思う。ここに集う人は本当にそれぞれの得意技を持ち、個性豊かである。そのことが十分に活かされる場であり続けることを願いつつ。

 余談であるが、中世において倉の管理を担っていたのは「問丸(といまる)」である。現代の「問屋(とんや)」も、ここから派生したという。学校現場で盛んに行われつつある探究学習では「問い」が重要である。いずれ、蔵が子どもたちの学びの場になった時は、そこに集う学び手を「問丸」と呼んでも愉しそうである。ちなみに、徳仁親王はテムズ川の水運についての研究で知られるが、初めての研究論文は兵庫の問丸をについて書いている。そう、徳仁親王は今上天皇である。もしかすると令和は、水運史の時代かもしれない。

参考:
徳仁親王『水運史から世界の水へ』NHK出版、2019年
徳仁親王「『兵庫北関入舩納帳』の一考察 ―問丸を中心として―」
『交通史研究』8号、1982年
※論文はインターネットでも公開されている。

(吉田英文)

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地域で活動したい「ひと」と「ひと」、「場」と「ひと」をつなぎ、地域の魅力を発信することを目的として、on the Minatogawa一般社団法人をつくりました。

場づくり事業として、湊川沿いに建つ空き倉庫、旧藺製品農協組合倉庫を活用した場づくりを始めました。
来年4月のオープンを目指して改修を進めていきます。

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